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割りを食む。

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くだん(富山市新富町)

 たまたま富山市で仕事があったので、15年来の友人に声をかけた。

 風の便りで富山にいることは知っていたが、プライベートで富山を訪れるときはたいてい恋人を連れているのでなかなか声がかけられずにいた。

 彼女が集合場所に指定した店が、新富町にある「くだん」だった。googlemap を頼りにホテルから歩いて狭い路地に入ったときはかなり驚いたし、なんなら一度店の前を通り過ぎた。

 暖色の照明に照らされた小さな看板が見えた時はかなり安心した。

 ひらがなの「こぎれい」という言葉が良く似合うような店だった。

 

 お互い違う高校に通ってはいたが、高校の経営母体は一緒だったこと、高校を卒業してすぐに社会人になったことなど、共通の話題が尽きなかった。

 彼女の話は面白かったが、特に印象に残っているのは、私たちの元同級生がなくなったという話を聞いた時だった。

 「僕なんかよりもよっぽど生きている価値のある人だったのに」

 という一言が口をついて出て、自分でも驚いた。

 今でも、あれが冗談だったのか本気だったのかわからない。

 しかしそんな一言が胸を少し苦しくする程度には実感を伴うコメントだった。

 13:30からの打ち合わせを東海道新幹線の中で済ませてよかった。

 そう思いながら、柳宗理清酒グラスに注がれた羽根屋の純米大吟醸に口をつける。

 驚くほどフルーティで、かなり好きな味だった。

 その次に頼んだのは、勝駒の大吟醸

 りんごやなしを想像するようだが、芳醇でふくよかというよりはさわやかな味のお酒だった。

 どちらも、口当たりがさっぱりしていて飲みやすかった。

 お料理で覚えているのは、呉羽なしの豚肉巻き。

 自炊をするときは「果物×肉」の組み合わせを無意識に避けてしまうが、きちんとした料理屋さんだと出てくるのだよな。

 豚肉は醤油ベースで、少し濃いめの味付けだったが、呉羽なしの歯ざわりが良いアクセントになっていて、負けず劣らずの存在感だった。

 えびしんじょもおいしかったし、たちの刺身もよくて、かなり楽しめた。

 二人で占めて8千円ほど。

 値段にしたら、普通の居酒屋とそれほど変わらないくらいだった。

 

 別れ際、里帰りの話になった。

 日程調整は任せているが、今年の年末は九州に行くことになりそうだ。

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