katabamido

割りを食む。

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かわりゆく

 昨年の12月に恋人だった人とお別れした。

 私はその人のことが好きだった。

 私は今まで、来るもの拒まずな恋愛をしてきた。

 向けられた好意には、好意をもって返さなくてはいけないと思っていたから。

 最初は別に好きじゃなくても、小さな好きをたくさん見つけることができれば、そのうち本当に好きになれることを知っていたから。

 私の好きは、認識を曲げて、自分を変えて、犠牲をどのくらい払うことができるかによって決まっていた。

 そのうち疲れて、自分のありかたがわからなくなって、しんどくなって別れるのがいつものパターンだった。

 今回もそう。

 私の恋はきっと、中学生の時から変わっていないのだと思う。

 みんなそうだった。

 最後の最後に、「ありのままでいいよ」って言ってくれた。

 あなたのことがずっとわからなかったといわれたことも、詐欺師と呼ばれたこともあった。

 それだって本当の自分だったのに。

 周りの人に気を遣って生きてきた自分にとって、普通の人が言うありのままはなかった。

 いままでの生き方を否定された気がして、たまらなく嫌だったんだ。

 みんな優しい顔をして、無責任な言葉を使う。

 人は他人に対してあまりにも無責任だけれど、人格はそんな選びようのない環境によって後天的に形成される。

 でもね、もうそんな人たちに振り回されるのはやめようと思うんだ。

 誰かに大切にしてもらうことを望むより、自分で自分を大切にしなきゃ。

 

 

 

 

 

 

私がとらわれていた「しなきゃ」

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