【習作】春風に乗って。
まだ先に進む勇気が出なくて
「この関係に名前を付けなくていいですか。」
そうお願いしたのは僕なのに。
一人の夜に声が聴きたくなる。
そんな風に思ってしまうのが嫌だった。
そんな風に思ってしまうのが怖かった。
だから名前を付けなかった。
あなたの気持ちは胸やけするほど甘くて、胸が銃弾を受けた肉みたいに赤黒くただれてしまう。
そんな自分の醜さがいたたまれない。
気持ちにこたえられるように、気高く強くありたい。
そんな気持ちも多分、見透かされてしまっているんだろうな。
でもたぶん、求められているのは今まで通り。
抱えた気持ちはないことにはならないけど、春風に乗って会いに行くよ。