【エッセイ】おみくじ「第三三番 小吉」
湘南も寒くなってきたので、ダウンジャケットを出した。
外気温は3度。もうぼちぼち年の瀬である。
ふと内ポケットを探ると、今年の1月1日に富士宮浅間大社で引いた御神籤が入っていた。
小さくたたまれたそれをぱらりとめくる。
「春くれば ふりつむ雪も とけぬべし しばし時まて 山のうぐいす」
思えば今年はいろいろな人に「まぁ待て」といわれる年だった。
状況を冷静に眺める人ほどそう言ってくれていた気がする。
「物ごとをひかえめにし心正しく身をまもってあまり進んでしないほうがよい わるい人にさまたげられて思わぬあやまちをすることあり交際その他きをつけよ」
一年前からすっかり見通されていたのだな。
もう少し周りを見ることができていれば、もっと思いやりをもって接することができていたら。
「たられば」で埋め尽くされてしまうくらい、反吐が出るほどガキだった。
大切なものを失ったけど、気が付いたこともたくさんあった。
とても大きなものを得ることができた一年だったと思う。
ありがとう。来年はきっと春が来る。