【エッセイ】もういい、休め。
十年来の友人達と久しぶりに電話をした。
一人は寮の同室で一年間をともに過ごし、もう一人は二つ隣の部屋に暮らしていた。
学校を卒業してからもことあるごとに連絡を取りあってはつるんでいるので、話す内容もたかが知れているが、くだらない話は楽しい。
プライベートでいろいろあった後だったので、ネガティブな話が多かった。
状況を改善するためのアプローチを考えなくてはいけない。
そんな私の台詞を聞いて、友人が言った。
「もういい、休め。」
私たちは人を励ますときや応援するとき、つい「頑張れ」と言ってしまう。
仕事でも、出来たら出来ただけより良い成果が求められる。
言う側も言われる側も「頑張れ」という言葉の裏に「状況は改善できる」や「もっとやれる」という気持ちが多少なりとも込められていることを知っている。
「休め」を励ましの言葉として選ぶことはほとんどない。
だけど私は、彼らの言葉に強く励まされた。
少なくともここには、私が「頑張れ」なくても許してくれる人がいると思えるだけで、前進するために十分な力が得られることを知った。