【習作】真白の雪原
白く突き刺す風が頬を穿つ。
遠くに見える星は、目の奥に響くような光を発していて、鼻の奥がつんとする。
限りなく黒に近い濃紺の空に、灰色の稜線が横たわっている。
まるで、星と僕を隔てるかのように。
朝焼けはまだ遠い。
真白の雪原を歩く。
前へ、前へ。
鏡を介さなくては自分の姿を見ることのできない僕たちに見えるのは、これから向かう先と、自分の足跡だけ。
うちつける風が冷たく凍えてしまいそうでも、足を止めたら死んでしまうから。
真白の雪原を歩く。
歩いてきた足跡が細く、消えかかっていても。
どこから来たのかは忘れずにいられるから。
たとえ星がずっと遠く、その道程が険しくても
真白の雪原は、誰も到達できなかったところにいることを教えてくれる。
確たるものが何もないなら、もっと遠く、遠くへ。
そしていつしか、あなたの足跡は誰かの道標になる。